バリンの旅は月がきれいな夜の湿地から始まった。
バリン 「キノコが呼吸をしているなんて不思議・・・」
音を立てて呼吸をしているキノコのきれいな姿に、見惚れているとき
ほっぺに暖かいものを感じた。
バリン 「うわぁ~なに!?びっくり!!」
それはこの湿地の主人、紫ラクダだった。
バリン 「紫ラクダさん!!こんばんは。あら?目に大きなものもらいができてるわ・・・」
バリン 「私がおまじないで助けてあげる」 元気のない紫ラクダに、バリンはそう声を掛けて近づいた。
バリン 「まずね、ものもらいができたところのまつ毛の中で、グラグラして取れそうなものを抜いちゃうわね」
不安そうな紫ラクダ・・・
バリン 「そのまつ毛を青色の苔が付いた二つの石の間に挟んで、道の上に置いておくの。
そして、誰かがそれを蹴ると・・・」
バリンはしゃがんで石の間にまつ毛を挟んだ。
バリン 「そうすると、ものもらいはその人に移るんだよ」
「さあ、目が良くなるように願うモンゴル人の眼のお札をかけてあげるね、一晩経てば良くなるよ」
それを聞いた紫ラクダは、にっこりと嬉しそうに笑った。
紫ラクダ 「ありがとう、なんだか早く治りそうな気がする」
バリンが紫ラクダと話をしている間、その後ろでは・・・
ギャビーが、プリティーかたつむりを盗んで一生懸命逃げていた。
ギャビー 「見つからないように早く行かなきゃ!」
逃げているギャビーの行く目の前には・・あのまつ毛を挟んだ石が!
コロン ヒラヒラ~ 気付かずに石を蹴ってしまったギャビーだった。